こんな足でも歩けない筈は無い
楽しかった3連休も今日で終わってしまいます。
どうも、やぎやまです。
本日もお題スロットを回してみました。
今日のお題は「筒井康隆」。
筒井康隆さんの小説、いくつか読んだことがあるので良かったです。
読んだことなかったら何も書けないところでした・・。
という訳で、筒井康隆さんの読んだことのある作品を紹介しつつ、感想を書いていきたいと思います。
1.残像に口紅を
「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい…。言語が消滅するなかで、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家を描き、その後の著者自身の断筆状況を予感させる、究極の実験的長篇小説。
ストーリーとしてはあってないようなものでしたが、言葉がどんどんなくなっていくという設定は斬新で驚きました。
しかも無くなった言葉を使っていないことを感じさせない文章に、ただただ感動するばかりです。
そして もしも本当に、自分の世界からどんどん言葉がなくなっていってしまうとしたら、自分は人に何をどう伝えることが出来るだろう?と真剣に考えました。
まず初めに消えてしまったのは「あ」。
感謝の言葉をどう伝えたらいいだろう?
「あ」りがとう とは言えないのだ。
サンキュー、とでも言えばいいのだろうか?軽すぎないか?
感謝します、とでも言えばいいのだろうか?重すぎないか?
嬉しい、助かります、恩に着ます、かたじけない?
どれもしっくりこない。
そんなことを考えていると、「ありがとう」という言葉は本当に丁度いい言葉なのだと気付く。
言葉がどれだけ大切なものか、無くてはならないものかを改めて知るとても良い作品でした。
2.懲戒の部屋
いっさい逃げ場なしの悪夢的状況。それでも、どす黒い狂気は次から次へと襲いかかる。痴漢に間違われたサラリーマンが女権保護委員会に監禁され、男として最も恐ろしい「懲戒」を受ける表題作。たった一度の軽口で、名も知らぬ相撲力士の逆鱗に触れた男が邪悪な肉塊から逃げ惑う「走る取的」。膨大な作品群の中から身も凍る怖さの逸品を著者自ら選び抜いた傑作ホラー小説集第一弾!
一番初めに収録されている「走る取的」は世にも奇妙な物語で映像化もされています。
短編集ということもあって、あまり読書に慣れていない方でも読みやすいのではないかと思います。
ホラー小説とは言いつつも、どことなくコミカルな雰囲気を感じて、やぎやまはそこがとても好きです。
筒井康隆さんの作品に興味を持ったら、入門本としてこれを選ぶと完璧なのではないでしょうか。
3.旅のラゴス
旅をすることがおれの人生にあたえられた役目なんだ。
北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。
この作品、実はジャケ買いです。
「筒井康隆だし大丈夫だろう」という安心感(?)から、あらすじも見ずに買いましたが、どうしてどうして面白いじゃありませんか。
筒井康隆さんの作品の中で1番好きな作品です。
淡々と描かれるラゴスの旅を読みながら一緒に旅をしているような気分になりました。
ラゴスはどんな目にあっても、どんな成功を修めても、そこに留まろうとはせずひたすら旅を続けます。
ラゴスの旅に終わりはない。それはまるで人生のようだと やぎやまは感じました。
それぞれに、何かは分からないけれど、何かに対する答えを求めて旅をしている。
答えは初めから分かっているものでなく、見つけて初めてこれが答えだったのだと知るものなのではないだろうか。
今はまだ分からないけれど、いつか人生が終わる時 何か自分に対する答えのようなものを持っていけたらいいと、そんな事を思いました。
そしてラストは泣いてしまった やぎやまです。
思わず「どうして!!」と口に出してしまいました。
留まることは出来なかったのですね。ラゴスにとって旅は人生そのものなのでしょう。
筒井康隆さんの作品は今のところ この3冊しか読んでおりませんが、いずれも非常に面白かったので、他の作品も読もうと思っております。
本屋へ行き、時々、筒井康隆さんの本を買って帰ってくるのですが、まだ読んでいない本が山積みになっていて手をつけておりません。
勿体ないですね。
これからどんどん消化していきたいと思います。
今回もとてもいいお題でした。
ではまたお会いしましょう、やぎやまでした。