The woods are lovely,dark and deep.
But I have promises to keep.
And miles to go before I sleep,
-and miles to go before I sleep...

百万粒の米粒に極細の筆で『航空兵になりてぇ』と書いて、それをふっくら炊き上げて喰いてぇぐれぇなりてぇです。

今日は会社の忘年会です。正直面倒くさいです。

どうも、やぎやまです。

 

昨日本屋へ行った際、大好きな作家さんの大好きなシリーズが出ていて一人でテンションぶち上げでした。

多分、地面から1㎝くらい浮いてたんじゃないかと思います。

 

飴村行さんの「粘膜シリーズ」、6年振りの新作です!

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2008年、「粘膜人間」で第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞。

続く「粘膜蜥蜴」では第63回日本推理作家協会賞を受賞し、「粘膜兄弟」、「粘膜戦士」と続くシリーズものの最新作がこの「粘膜探偵」です。

 

飴村さんはかなりグロテスクでなかなかエグい話を書くのですが、独自の世界観とホラーで幻想的な話は本当に面白いです。

読む人を引き込む文章やテンポの良いセリフ回しなど、とにかく素晴らしいのです。

 

では粘膜シリーズをチラッと紹介していきます。

まずは「粘膜人間」

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「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。

その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。

だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。

グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。

戦時下の日本を舞台にバイオレンスとエロスとグロテスクの応酬でした。

そういうのが苦手な方は本当に読むと後悔すると思います。

やぎやまはわりとグロホラーが得意な方なので、圧倒的な飴村ワールドに引き込まれ、1作目で帰らぬ人となりました。

自分の奥底にも嗜虐性が在ったのだと気付かされました。

この作品を面白いと感じるのは、おそらくそういうことなんだと思います。

 

 

「粘膜蜥蜴」

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国民学校初等科に通う堀川真樹夫と中沢大吉は、ある時同級生の月ノ森雪麻呂から自宅に招待された。

父は町で唯一の病院、月ノ森総合病院の院長であり、権勢を誇る月ノ森家に、2人は畏怖を抱いていた。

〈ヘルビノ〉と呼ばれる頭部が蜥蜴の爬虫人に出迎えられた2人は、自宅に併設された病院地下の死体安置所に連れて行かれた。

だがそこでは、権力を笠に着た雪麻呂の傍若無人な振る舞いと、凄惨な事件が待ち受けていた…。

さてシリーズ2作目ですが、こちらも舞台は戦時下の日本です。

前作と共通した要素がところどころに見られるので、同じ世界線での話だとわかります。

主人公・雪麻呂と下男・富蔵のやりとりが軽快で珍妙、一見の価値ありです。

今日のブログタイトルは作中の富蔵のセリフそのままです。

このセンス、クスッときたので非常に印象に残っております。

雪麻呂が女を抱いてる横で富蔵が応援する、というシーンは腹を抱えて笑いました。

しかし2作目から突然コメディになった訳ではありません。

しっかりグロホラーしています。

どこに着地するのか分からないストーリー展開もまた魅力です。

 

 

「粘膜兄弟」

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ある地方の町外れに住む双子の兄弟、須川磨太吉と矢太吉。

戦時下の不穏な空気が漂う中、二人は自力で生計を立てていた。

二人には同じ好きな女がいた。駅前のカフェーで働くゆず子である。

美人で愛嬌があり、言い寄る男も多かった。二人もふられ続けだったが、ある日、なぜかゆず子は食事を申し出てきた。

二人は狂喜してそれを受け入れた。だが、この出来事は凄惨な運命の幕開けだった…。

シリーズ第3作。

個人的な感想として、今作ではストーリー性の高さをアピール出来ていると思います。

これまで粘膜シリーズの特徴ともいうべきバイオレンス・エロス・グロテスクの描写が一番に挙げられてきましたが、今作では控えめになっており(あくまで飴村作品として)、そんな描写だけに頼らずとも面白いということが分かります。

飴村さんは人間の汚い部分や醜い部分を描くことに非常に長けていて、何だかこっちまで内側を抉られているような、覗き見られているような、そんな気分になりました。

 

 

「粘膜戦士」

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占領下の東南アジアの小国ナムールで、大佐から究極の命令を下された軍曹。

抗日ゲリラ、ルミン・シルタと交戦中、重傷を負い人体改造された帰還兵。

複雑な家庭事情を抱え想像を絶する悲劇に見舞われる爬虫人好きの無垢な少年。

陸軍省の機密書類を盗み出そうとして捕らわれた2人の抗日分子。

そして安住の地を求めて山奥に辿り着いた脱走兵…。

戦時下で起こる不可思議な事件。目眩く謎と恐怖が迫る、奇跡のミステリ・ホラー。  

 粘膜初の短編集。

これまでのシリーズの登場人物が出てきたり、所々繋がりが見受けられて非常に面白かったです。

粘膜シリーズは読んでみたいけど勇気がないという方はこの作品から入るといいかもしれません。

粘膜世界にどっぷり浸かってしまったやぎやまなので、もはや感覚が麻痺しているだけかもしれませんが、粘膜戦士は然程エログロホラー感は無かったように思います。

これを読んで興味が出たらぜひ長編に入っていただきたい。

 

 

ついでに紹介させて下さい、「爛れた闇」

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高校2年生の正矢は生きる気力を失っていた。

先輩でもあり不良の崎山が、23歳も年の離れた正矢の母親と付き合い出し、入り浸るようになったのだ。

学校も退学し、昼間からぶらぶらと過ごす正矢に、小学生の頃から親友同士の晃一と絵美子は心配して励ましてくる。

一方、独房に監禁された男が目を覚ました。

一切の記憶を失い、自分が何者であるかもわからない。

どうやら自分は大東亜戦争まっただ中の東南アジアで「大罪」を犯してしまったらしい。

少しずつ記憶を取り戻す男だが、定期的に現れる謎の男によって拷問が始まった…。

やがて、絶望の淵にいる正矢と男は、互いの夢の中に現れるようになった。

しかし、二人の過去には恐るべき謎が隠されていた! 

 粘膜シリーズとは関係ないのですが、やぎやまが好きなので紹介します。

粘膜シリーズ同様、独特の世界の中での話。

飴村作品では初の現代の男子高校生が登場します。

もちろんバイオレンス・エログロホラー描写もすごいです。

戦時下、記憶喪失の男と現代の男子高校生、話が進み最後はクロスオーバしていくのだけれども、その繋がり方には驚かされました。

そして作中のこのセリフ、グッときました。

 「人の心の奥底にはね、必ず爛れた闇が潜んでいるんだよ。どんな偉い人だって、どんな立派な人だって例外なく潜んでいるんだ」

 

というわけで、飴村行さんの粘膜シリーズ紹介でした。

最新作読んだらまた感想書こうと思います。

グロ平気な方はぜひ読んでみて下さい。

ではまたお会いしましょう、やぎやまでした。