犬鳴村~何も解決しなかった寄せ集めの怖い話~
どうもどうも、冬眠中のやぎやまです。
いや本当久しぶり過ぎますね。
寒くてどこにも行ってないので・・まさに冬眠です。
昨日、レイトショーで「犬鳴村」を観に行ってきたので感想を書きます!
【ストーリー】
臨床心理士の森田奏の周りで突如、奇妙な出来事が起こり始める。
奇妙なわらべ歌を歌い出しおかしくなった女性、行方不明になった兄弟、そして、繰り返される不可解な変死。
それらの共通点は心霊スポット【犬鳴トンネル】だった。
全ての真相を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルに向かう。
しかしその先には、決して踏み込んではいけない、驚愕の真相があった。
ということでいつも通りネタバレも含みながら気になったとこなど書いていきます。
序盤はかなり良かったです。
動画配信のためであろう映像を撮りながら心霊スポットを巡るカップル、あるある。
深夜2時に電話が掛かってくる呪いの電話ボックスに始まり、トンネル、廃村と続く。
「この先、日本国憲法通用セズ」の朽ちた看板がいい雰囲気を醸し出してます。
トンネル内でも画面の端に一瞬写り込む足やら、カメラを振った時に映った四つん這いの女(?)やら、“呪いのビデオ”風な映像がいい感じ。
これは久々に期待出来るのでは!?とかなりワクワクです。
滞空時間長くね?
2人は村でなんやかんや怖い目にあって逃げ帰るんですが、彼女の方、アキナちゃんが帰ってからおかしくなってしまいます。
妙なわらべ歌を歌ったり、不気味な絵を描いたり、失禁しながら歩いたり。
そのまま近所の鉄塔を登り、飛び降り自殺をするんですが、彼氏のユウマくんに電話をしながら飛び降ります。
よくある「飛び降り自殺者と目が合う」怖い話ですね。
電話の向こうから
「今そっちに行くね。もうすぐ・・もうすぐ・・もうすぐ・・」
とアキナちゃんの声がするんだけど・
え?滞空時間長くね?
その鉄塔そんな高かったっけ?
その後ゴシャアって地面に叩きつけられる音とアキナちゃんの死体はかなり恐怖感を演出できてたと思うけど、滞空時間が気になってあんまり怖くなかった。
多分「すぐそっちに行くね」→「ホーラ(目が合う)」だけで十分だったよ。
もうすぐ・・もうすぐ・・って3回も言う暇ないと思うんだよね。
犬殺しとは
途中まで見ていくと分かるけど犬鳴村ってのは山間にあった村で、山で野犬を捕まえて食べたりしてた人達らしい。
「犬殺し」とか呼ばれて近隣の村の人からはわりと嫌われて疎まれてたような感じらしい。
アキナちゃんの葬式ではカナデがヤマノベ先生とすれ違い様に「この犬殺しが!」って心の声を聞いてたけど、正直そんな罵倒されるようなことだろうか?
犬を殺してたのは事実だけど野犬でしょ?人んちの犬攫ってきた訳じゃあるまいし・・
野犬は極端な話 野生動物と思えば、獲って食うのは立派な狩猟では?
何かもっと深い設定があるのかもしれんけど、作中で出せていない時点で観てる側からしたら無いも同然。
「犬」だから獲って喰うのは非人道的だ!野蛮だ!この犬殺しどもが!っていうのはかなり偏ってるしキチガイじみた意見と思うが。
「犬殺し」と罵倒させるなら犬鳴村が犬神憑きの村だったってことにするとか出来たじゃん。
村ぐるみで犬を使った呪術を行って近隣の村から恐れられ疎まれ蔑まれていたって方がしっくりくるわ。
その方が田舎の風習・土着的な怖さも出て良かったんじゃないのかなぁ。
ま、とにかくユウマやカナデは犬鳴村の血が流れているという話のようです。
ズッコケ三人組
ユウマの後輩(舎弟?)の3人組が本当可哀想。
まぁ・・アキナちゃんに関しては村行っちゃってるから呪い受けたんだろうと思える。
ヤマノベ先生も何かしらの関係はあるようだから呪い受けたのもまだ分かる。
でも一番可哀想なのはこの3人組。
この3人組村にも行ってなければトンネルにすら入ってないのに。
犬鳴峠にある呪いの電話ボックスに閉じ込められて溺死という・・
なんでよ。関係ないだろこの子たちは。一番関係ないだろ。
ついでみたいに通りがかりで殺すのヤメロ。可哀想だろ。
でも後半で出てくるこの子らの霊めっちゃ笑った。
カナデが車で電話ボックスを通りがかると3人が立ってて、走って追いかけてくるんですよ。
バックミラーにうつるズッコケ3人組。
普通に走るやんけキミタチwww
何とか振り切って走ってると今度はアキナちゃんが車めがけて落下してくる。
(このシーンの時 斜め前の席の人がめっちゃビビッたのかびょんって跳ねてた)
そんな車内に乗り込んでしまったアキナちゃん、そして・・・
いやキミら追い付いたんかいwwww頑張ったなwww
カナデを見つめる4人だったけど後ろの席の3人は走ってきて疲れてるようにしか見えなくて笑えて笑えて仕方なかったww
実体を伴った幽霊(幽霊とは)
ちょっと順番が前後しましたが途中で出てくる霊がね、なんと実体を伴ってるんですよね。
普通に生きてる人みたいな顔色で佇まいでしかも触れる(!)
幽霊とは何ぞや。
で、その幽霊の青年が犬鳴村の秘密を教えてくれちゃうわけよ。映写機で。
霊にしては存在感ありすぎるしすげー自由に動き回るし何でも教えてくれちゃうし。
こんな都合のいい霊がいていいんですか?
どうなんですか?監督さん。
でまぁその青年が言うには村にダムを作る計画があって、ある時電力会社の人間が村に来たらしい。青年もその一人。
電力会社の人間は初めは良い顔をしていたが村人が心を許すと忽ち村人たちを虐殺し始める。ダム建設に邪魔な村人たちを村ごと一掃したらしい。
で、その虐殺の指揮を執ったのがカナデの父親の先祖。
いや、殺す必要なくね?
村人たちの恨みのエピソードが欲しい、じゃないと呪いに説得力がない・・
そうだ!ダム建設のために虐殺されたことにしよう!ってなったんだろ、どうせ。
どうしても虐殺エピソードが必要ならもう少し背景を作り込めよ。
例えば、立退料を着服して虐殺したとかさ。
そのままじゃ不自然にも程があるんだよな。
犬鳴村のタイムパラドクス
ユウマと弟のコウタが犬鳴トンネルで失踪し(中盤くらいで)
その間カナデは普通に仕事行ったりおじいちゃんちに行ったりしてたんだけど、ようやく探しに行く気になったらしい。おっそ。
村への案内人はもちろんあの便利な青年の霊である。
至れり尽くせりだなぁ。
村内に入るとすでにダム建設前、村人が虐殺された当時にタイムスリップしている。
犬鳴トンネルはタイムトンネルだったようだ。
小屋の中にユウマとコウタが囚われているのを発見。
生きてるんかーい。
アキナちゃんとかズッコケ3人組とかヤマノベ先生とか関係ない人はためらいなくバンバン殺す癖に血筋の者は生かしとくんだ。
しかも自分が入れられてる牢の鍵の在り処をなぜか知っているユウマ。
ユウマに促され奥へ進むと犬が!!
かわいい。かわいい割にイビキがものすげぇ。
イビキの音量だけは化物並の犬っぽいんだけど如何せん見た目がかわいい。
起こさないようにソロソロ歩いてるのに奥の方から青年が
「おい!こっちだ!」ってお前静かにしろや。犬起きるだろ。
いや、起きないんかい。野生無くし過ぎだわ。
奥には何と出産直後の女が死にかけている。
その女は青年の恋人マヤ。青年の子供を産んだところらしい。
青年はすかさず赤ん坊を取り上げカナデに託す。
赤ん坊を連れて逃げろ!村の血を絶やすな!と。
偉そうに村人の総意みたいに言うけどお前電力会社側の人間では?
結局この赤ん坊はカナデのおばあちゃんで、つまりユウマ・カナデ・コウタは電力会社と村人両方の血が流れてるという話でした。
でもアレだよね、カナデが一番濃い目に関わってる感あるけど女系だから?
そういうのもちゃんと作中で説明してくれないとさ。困っちゃうよね。
謎の犬変化と耐久半端ない青年
赤ん坊を返せと暴れるマヤを青年が抑えている隙に逃げ出しトンネルに辿り着いた3人。
途中でコウタが疲れて立ち止まると背後から足音が。
青年がマヤに首根っこを掴まれて死にそうな感じで登場。
そしてマヤは全眼黒目+牙の化物に変身するのである。
本当にこんなポーズしてたからね。創作じゃなく。
ここまでくると結局何映画にしたいのか分からんな。
ってか何で化け犬みたいになってんの?呪い?
今にも襲い掛かろうとするマヤを後ろから取り押さえる青年。
あ、お前まだ生きてたんだ?
必死に取り押さえるも暗がりに引きずり込まれ断末魔の叫びと噛まれたような音がトンネルに響く。
あ・・これは流石に死んだな(いやそもそも最初から死んでる)。
で、今度はユウマがマヤに掴みかかり必死に抑える。
と、マヤの後ろからまた青年!!
お前全然死なんやんけ!!!!!
さっきの断末魔とエグい効果音は何だったんだよ!!
というかマヤさんの犬ダンス見てる暇があったらさっさと逃げればよかったじゃん。
青年が3回も取り押さえてくれるんだから絶対3人で逃げれたじゃん。
それをモタモタしてるからユウマが犠牲になっちゃったじゃん。
登場人物の行動がいちいち不自然なんだよ。
何も解決してませんけど?
ユウマを犠牲にして何とか脱出したカナデとコウタ。
当時のおじいちゃんの家の前に赤ん坊を置くとタイムスリップしてカナデ達は現代へ。
おじいちゃんに発見され病院で目覚める。
これですべてが終わった・・とでも言わんばかりの映像が流れてくるけど
いや、何も解決してませんよね?
村人の呪いはどうなったの?
関係ない人達殺しただけで満足したの?
電力会社の血筋であるカナデ一家(母除く)は殺さなくていいわけ?
アキナちゃんも3人組もヤマノベ先生も死に損なんだけど。
結果カナデ一家で死んだのユウマだけじゃん。
後日ダムから死体が上がるんだけど、ユウマの足には青年とマヤが絡みついてんのよ。
作品全体通してさ、色んな怖い話要素が混ざってんだよね。
海外のB級映画にありがちな「大ヒット要素をすべて凝縮!」みたいな。
それをしたが為に目も当てられない駄作が出来上がっちゃう的な。
最後のお墓のシーンでは青年とマヤはおばあちゃんの両親だから同じお墓に入れたんだろうね。
おばあちゃんが微笑んでる反対側で青年とマヤが佇んでいるカット。
いやいやいやいやいや
お前らそこにいちゃ絶対ダメだろ。
おばあちゃんはいいよ。
青年とマヤはだめだろ。
ユウマの足に絡みついて殺したじゃん?道連れにしたじゃん?
何 大団円みたいな感じで見守ってんだよ。
マヤに至っては犬変化までして思いっきり殺しにかかってたくせに何その手のひら返し?
なんかうまく収めた気になってんだろうけど、何も解決してないから。
何も解決してないから。(2回目)
まとめ
全体的にツッコミどころしか無いんだけど、全部突っ込んでると終わらないので細かいとこは省きました。
こんなに思ってたのと違う映画も珍しいし、あんなにいい題材を使っておいてここまで怖くないのも逆に凄いし、何ならちょっと笑わせにきてんじゃねぇかなとすら思った。
色々盛り込み過ぎで話が死んでるんだよね。
だから細部まで作り込めずに全部中途半端の宙ぶらりん。
だからつじつまが合わなかったり不自然な流れになったりすんだよ。
地図から消された理由とか、犬鳴村に行ったものはなぜ生きては帰れないのかとか、(まぁまぁ生きて帰ってるけどね)そういうのにフォーカスして作った方が絶対良かったと思う。
大体 犬化する理由も分からないし、呪いの対象は誰だったのかも分からないし、マヤと村人はそれぞれ別で動いてたのか、それともセットなのか、マヤが主導なのかも分からないし、ヤマノベ先生はどういう形で村と関係があったのかも謎のままだし、なんで父親だけ全く被害無しだったのかも謎だし、何より3人組はなぜ殺されたのかも分からないし、まじで何も解決してないんだよね。
そもそもだけど、カナデたちは最後の時点ですら連れて逃げた赤ん坊がおばあちゃんだってことは知らなかったはずなのになぜ手放さない?
あんな訳のわからない化物に追われてまで守らなきゃならんか?
それって結局制作側がそのタイムパラドクスの完成というラストに向けて登場人物を動かしてたってことじゃん。
そんな決められたラストに向かって動かすからあちこちで歪が出来るんだ。
作ってる人達の中で誰一人疑問に思わなかったんだろうか?
本当に全員がこれでいいと思ってたのか?
というか監督が一番謎。ホラー何作目?
本当にこれでいいと思ったの?怖いと思って作ったの?
どうしてこんなことになってしまったの?
疑問が次から次へと湧いてきて仕方がない。
あまりにも駄作過ぎて5000文字も書いてしまったよ。
まぁ、あれです。ふざけてると思って見れば見られなくもないです。
暇とお金があれば話のネタにでも見てみて下さい。
ではまたお会いしましょう、やぎやまでした。