マイウェイ 12000㎞の真実
連休中はBBQをしたり海に行ったりと夏を満喫していました。
どうも、やぎやまです。
今日はやぎやまの大好きな映画のDVD購入記念と致しまして(?)感想とともに紹介したいと思います。
マイウェイ 12,000キロの真実
【あらすじ】
日本統治時代の京城に日本人と朝鮮人の2人の若者がいた。
祖父は憲兵隊司令官、父は医師という裕福な家庭に生まれ育った長谷川辰雄と司令官の家の使用人の息子キム・ジュンシク。
境遇の異なる2人の共通点はマラソン選手としてオリンピックで走るという夢だった。
時代に翻弄され、民族や信条の違いから対立する2人。
日本・ソ連・ドイツと3つの軍服を着ることになった2人が辿る運命とはー。
これは本当に一度は観てほしい。
やぎやまはこの映画が好きすぎてついにDVD購入しました。
この映画はある一枚の写真から作られたものです。
第二次世界大戦末期、ノルマンディー上陸作戦終了後、アメリカ軍に捕らえられたドイツ軍捕虜の中に一人の東洋人がいた。
日本・ソ連・ドイツと3つの軍服を着て戦い、12000kmの道のりを国境を越え生き抜いたという話を聞いた監督が、これを基にイマジネーションを膨らませて出来たのがこの映画。
ネットで見ると「衝撃の実話!」とか書いてあったりしますけど、公式には「事実を基にした」としかされていません。
“実話”と“事実を基に”は全くの別物ですので、混同しないでほしいです。
あと基にしてる部分は“日本・ソ連・ドイツと3つの軍服を着て戦い、12000kmの道のりを国境を越え生き抜いた”という部分で、日本軍がどうとか朝鮮人がどうとかいう部分ではないことを分かっておいて下さい。
まずこの映画のなにがすごいってオダギリジョーの演技力。
彼が演じる長谷川辰雄は、少年時代からゴリッゴリの軍国主義。
ことあるごとに「大日本帝国万歳!天皇陛下万歳!」と叫ぶ。
現代の日本人からしたら理解不能な感覚を地でいくヤバイ人だ。
しかし軍服姿は死ぬほどカッコイイ。
日本統治下の民族である朝鮮人を目の敵にし、理不尽な暴力を振るうシーンはまさに悪役、日本人はなんて極悪非道なんだ・・!と衝撃を受ける。
特に山本太郎が演じる軍人はまじでクズだ。すんげぇ右寄り。
しかしこれを「反日主義の捏造だ」と捉えないでほしい。
実際のところはどうだったかなんて分からないからだ。
戦時下という明日も見えないような状況で溜まりに溜まったストレスを自分より立場の弱いものに向けてしまわないとは言い切れないからだ。
パワハラやらが問題になっている今の日本でも同じではなかろうか。
他民族を差別するというのは日本に限らずどこにでもあった話で、それが戦時下ともなればそれは酷いものだっただろう。
リアルに描くのであれば必ずこういうシーンが入ってくることになる。
昔から世界中で人種差別はあったし、今でもある。
どの時代にも必ずあった問題であり、それを日本人だけが聖人君子の如く どんな人種も受け容れてきた、などという都合のいい歴史は存在しないのだ。
もちろん韓国人だって同じだ。
今回はたまたま日本人が差別する側の役回りだったというだけであって、反日がどうとか嫌韓がどうとか 全く関係ないと私は思う。
そして長谷川率いる隊の生き残りはソ連軍の捕虜になり、日本人と朝鮮人の立場は逆転する。
うまくソ連軍の司令という立場におさまった朝鮮人が、今度は日本人を理不尽な暴力でいたぶるのだった。
これまでよくもやってくれたな、と言わんばかりだ。
日本だけを悪く描いている映画では決してない。
あくまで 戦争は人の心を変えてしまう、という描写に過ぎない。
対するチャン・ドンゴン演じるキム・ジュンシクは聖人君子のような人間だ。
何があっても腐らずコツコツ努力を続ける。仲間や家族を大切にし、日々を懸命に生きている善人だ。
オダギリジョーの冷酷さ、厳しさが ジュンシクの善人さを際立たせる。
そしてチャン・ドンゴンもめちゃくちゃカッコイイ。
基本的に朝鮮人側はこの映画では弱い立場であり、日本軍の中の朝鮮人は少数のため、とんでもないクズが登場したりはしない。
日本人側は冷酷で厳しい長谷川辰雄や、ただのクズである山本太郎演じる兵隊(名前忘れた)や、それに反して人間らしく温かみのある副官など様々な性質の人物が登場する。
状況が変わるにつれて、それぞれの登場人物に対するこちらの心情も変わっていく。(山本太郎に関してはずっとクズだったが)
いい奴だと思っていた登場人物が立場が変わったことで卑怯者に思えてしまったり、嫌な奴だと思っていた辰雄に同情してしまったり。ちなみにジュンシクは一貫して善人。
ソ連軍の捕虜になり「日本人」「朝鮮人」なんていう区別は無意味なものになり、そこで初めて辰雄はジュンシクを一人の人間として認識し始める。
ドイツ軍が攻めてきてソ連軍に転向を迫られ、ソ連軍として戦地へ赴く二人。
そこで長谷川辰雄は過去の自分を目にする。
「勝つか 死ぬか、どちらかだ」と沢山の兵士を犠牲にしてきた。
背を向ける者は射殺する、というソ連軍の司令官を見て 辰雄は自分がしてきたことの残虐さに気付くのだ。
やぎやまは このシーンでとりあえず1回泣く。
このシーンのオダギリジョーの表情は本当にすごい。
見ているこっちの胸が痛い、辛い。
何とか生き残った2人は死んだドイツ兵のコートや装備を持ち、国境に向かって山を越える。
ジュンシクが辰雄を助けながら2人で山を越えるシーンは感動的だ。
ジュンシク・・どこまでいい奴なんだ・・
その後ドイツ軍に捉えられ別々に連行されてしまう2人。
辰雄を助けようと必死にドイツ兵に頼むジュンシクが泣ける。
チャン・ドンゴンのすごいのは全編通して大体日本語なところ。
朝鮮人同士の会話は流石に韓国語だが、それ以外は大体日本語で喋っているし、イントネーションもおかしくはない。多少カタコト感はあるがしっかりと日本語として聞き取れるレベルだ。
主演の2人のインタビュー記事を読むと、チャン・ドンゴンはかなりオダギリジョーに助けられたとあったが、(イントネーションや言い方の確認等)それでもほとんどのセリフを日本語で演じるというのはめちゃめちゃすごい。
ここまで物語に入り込めたのはチャン・ドンゴンの努力のお陰もあるはずだ。
ドイツ軍として何年も過ごす中でジュンシクを探し続ける辰雄の姿にもまた感動。
ついに日本人や朝鮮人の枠を超えて一人の人間として、友としてジュンシクを思うようになったんだ、と泣ける。
ラストにはもう号泣。
ラストは書きませんので是非見て下さい。
結構酷評している方もいるんですが、映画として面白くなかったという評価は仕方ない。好みもあるし。
でも「日本軍はここまで酷くない」「反日主義だ」というような評価からくるものはちょっと違うのでは?と思う。
一旦、日本人や韓国人という枠、色眼鏡は外して観てほしいです。
というかこの作品を見ていて主人公の2人と一緒にラストシーンを迎えればそんな色眼鏡外れてると思うんだが。そんな感想自体右寄りなのでは。
穿った見方をせずに史実がどうとかも忘れて、一つの作品として観てほしい映画です。
これは戦争映画と見せかけて熱い友情の物語なのです。
あ、でも戦闘シーンとか暴力的なシーンとかわりとすごいので、そういうのが苦手な方はちょっとキツイかもしれないです。
ではまたお会いしましょう、やぎやまでした。